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ACコンプレッサーが立て続けの不良 原因究明 アウデイA4

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今回は再発するアウディA4のコンプレッサー不良を問題解決するまでのお話になります。

ことの発端は、弊社の運営するEAパーツWEBショップにて

アウデイA4用エアコンコンプレッサーを購入いただいたM様からのご連絡で始まりました。

内容は、取付後数日は問題なく稼働していたが、コンプレッサーよりカタカタという異音が発生し

異音が消えたとたん冷気が出なくなったという事でした。

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今回、ご購入いただいたのは優良品(アフター品)のものでした。

M様のA4のコンプレッサーの交換作業は、都内の電装屋さん(エアコン修理専門)にて

作業を依頼したそうです。その電装屋さんを選んだ理由としては以前ネットで検索したところ

アウディA4の修理実績を見かけたことがあるとのことでした。

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EAパーツの販売製品には概ね1年間の保証を付けている為、お手数をおかけして申し訳ない気持ちでしたが、

M様に作業を行った電装屋さんで作業内容をご確認いただき、そのご報告を踏まえメーカーサイドと協議し、

代替品をお送りさせていただきました。

M様には重ねて申し訳ございませんが交換時の工賃は保証対象外の為、

心苦しくはありましたが、代替品に交換作業をしていただいたところ、

なんと、代替品も前回と同様の症状を再発したとの残念なご連絡をお受けしたのでした。

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これは一般的なお話ですが、パーツの製品不良が全くないという事はたぶん純正品でもないと思います。

しかし、輸入車パーツを販売してきた経験上何百分の1というレベルであります。

(少なくとも弊社の取扱う製品達は実績的にもそのような感じです。)

今回のように2回縦続くという事は、何万分の1という市場に流通する製品としてはありえないであろう確率といえます。

1度目と2度目が同じ症状であるとの事なので、M様の目的であるエアコンが効く快適な車内空間を

実現させるため、作業時の問題または車両側の問題も視野に入れてメーカーと再度協議しました。

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参考までに、車側の問題を考えるのであれば、ラジエターとコンデンサー部分にクーリングファンがついています。

欧州(特にドイツ車)はモーターが変速式でMAXパワーで回らないと、コンプレッサーが高圧高温になり

特に夏場の気温が高い日に、本体が故障してしまうことがあります。

この場合いくら新品のコンプレッサーを交換しても故障を立て続けてしまうことがあると考えられます。

このメーカーとの協議の段階で、とある問題が発生していました。販売した製品の在庫が欠品してしまっていたのです。

その後、M様とのやり取りが紆余曲折しましたが、結論は、

ご購入いただいたコンプレッサーより上位ブランドの製品を、弊社で原因追及を含めて交換作業を行わせていただく

事を前提に、工賃を含めて無償で作業するという内容をご提示をさせて頂きました。

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提示を快諾いただいたのでメーカーの担当と弊社の担当が、M様がご来店時にご面倒をお詫びし、、

お車をお預かりして、さっそく原因追求開始です。

お預かりした直後は、まったく冷気が感じられず、しばらくエンジンをかけエアコンを入れて

おくと、何故か突然冷気が出始めたり、しばらくするとまた効かなくなるといった症状でした。

初回の交換時はコンデンサーのみ交換していないとの事でしたので、基本通り手始めにオリフィスの詰まりを点検しました。

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オリフィスは液体上の冷媒を霧状に変化させる部品で細かい網目になっています。A4は

カウルパネルを取り外し、バッテリーの下のパイプを取り外すとエバポレターの手前に付いています。

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取り外したパイプと中にあったオリフィスです。ヘドロの様な物で完璧に詰まっています。

そもそもヘドロのようなゴミがついているわけですが、新品のコンプレッサーを

2回交換しているため、ヘドロではなく鉄粉の原型(鉄っぽい)に近いゴミが詰まると考えるの

一般的また、凡例的にも適当であると考えますが不思議な状態です。

(古い車などで、アキュムレーター内の活性炭が解けてヘドロ形状のゴミを見たことがありますが、どうやらそれとは違うようです。)

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もちろん、この箇所がこれだけ詰まるという事は、コンプレッサーが高圧高温やゴミにより不良にしてしまう

危うい状態であり、冷媒がエバポレーターを冷やさないつまり、エアコンが機能しない状態であるといえます。

その先の各部にもヘドロのようなゴミが詰まっている事でしょう。

コンプレッサーを故障させるには十分な原因が一つありました。

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ヘドロのようなゴミはオリフィス➡エバポ➡アキュム➡コンデンサー➡コンプレッサーに回っていると容易に想像できます。

コンプレッサー破損時の基本であるライン洗浄を行いましたが、推測通りエバポレーターとコンデンサーからも

同様のゴミが確認されました。

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念のためコンプレッサーも取り外し点検いたします。

内部のゴミの状況までは詳しく確認できませんが、機能・機関的には問題がありませんでした。

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また、取外したコンプレッサーから次なる問題が発覚しました。

コンプレッサーオイル量を点検したところ、

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約40ccしか入っていません?前回交換に明らかに規定に満たない少ない状態が確認できました。

ACラインは密閉されている為、漏れるという事はありません。(ガス漏れしてれば話が別ですが・・・。)

メーカーの指定オイル量を聞いてみたところ150ccとのこと。

実際のコンプレッサーには120ccしか入りませんでしが、アキュムレーターも交換したので追加で50ccを注入し、

総量で170ccを注入したこととなります。

エアコン修理の原則として、エバポレーター・アキュムレーター交換時はその分のオイルを追加して

組付けなければコンプレッサーから大量の鉄粉が発生する事態が起こります。

コンプレッサーは機能的には使えそうな感もありましたが、内部にゴミが残ると再発の恐れが大いにあるため、

2度目の代替品(上位ブランドのもの)に交換させて頂きました。

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圧力調整と活性炭で湿気や細かいゴミ取りの役目をするアキュムレーターも非分解のパーツである為、

お客様にご了承いただき交換させて頂きました。

1度目の不良はパーツだけの関わりであったので、根拠のない憶測でしか言及出来ないためコメントを控えますが、

今回の不良に限って事実関係に基づいてご報告すると、

・コンプレッサーには特別問題がなかったこと

と、

・エアコンのライン内にあってはいけないヘドロのようなゴミがあったこと

と、

・コンプレッサーオイルの量が酷く少なかったこと

という3点が分りました。もちろんエアコン不良となるには十分な内容でした。

輸入車専門店では常識的なお話ですが意外と知られていないのが、

国産車用コンプレッサーはオイルが注入されて部品が届きます。(親切ですね)

欧州・北米などの世界中の輸入車コンプレッサーはオイルが注入されて国内に入ることは殆どありません。

(オイルを入れて部品が届く事があるとすれば、国内で販売時に注入しているという事でしょう。)

届いたコンプレッサーをオイルが無い状態でそのまま取付ければ100%また破損します。

なぜ、今回のような事例が起こったのか1度目に関しては、作業内容が分らないため真相はわかりませんが、

2度目の交換時にはしっかり原因も確認できましたし、今後の再発はないといえます。

もう一つ、はっきりしたことは、M様のアウディA4のエアコンはしっかり動作確認や試乗まで繰り返し行い、

ご希望のとおり快適になったという事です。

M様、お金・労力共にご迷惑をおかけしました。コミュニケーションがしっかりした方であったことを大変感謝しております。

これまで同様、お車を大切にお乗り頂ければ幸いです。

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